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チャーリー•パーカー


昔からジャズは大好きで、いつか弾けるようになりたいなあ、と思っていました。初めてジャズを意識して聴いたのはマイルス•デイビスのライブ•イン•ベルリンで、1曲目のマイルストーンにノックアウトされたのを覚えています。その時は楽器も弾いていなかったので、そこで一体何がおこっているのか分かりませんでしたが、これまで自分が聴いていたロックやポップスとは違い、何か異質なものが、しかし規則性のある理路整然としたものが起こっていること感じました。(後から知ったのですが、マイルストーンはビバップからモードへの転換期の曲だったのですね。)

それからジャズにはまって、文献を読み漁り、遡るようにしてビバップを聴くようになりました。そこでもちろん外せないのがチャーリー•パーカーです。パーカーはマイルスの師匠であり、ビバップの王様、そして創始者です。チャーリー•パーカーはほぼ一人で、今誰もが耳にしてジャズっぽいと感じる要素を創り上げた人間です。
今聴いても驚かされる演奏方法とリズム感、そしてテンポの速さですが、以前にこのようなスタイルがない状態、事前情報一切なしのリアルタイムで聴いた人は一体どのような感覚になったのかと思ってしまいます。

ディーン•ベネデッティというサックスプレイヤーがいて、この人はパーカーをリアルタイムで聴いて驚愕し、それから彼のライブに足を運び、今のようなコンパクトなICレコーダーなどない時代に、重くて大きなレコーダーを運び、ある時はトイレに隠れて、ある時は上の階の窓から身を乗り出して、パーカーの演奏のみを録音して回った人です。
ベネデッティはその録音テープを使い、家で解析、コピーをしていたようですが、その気持ちはすごく良くわかります。
パーカーの演奏の凄いところは、強烈に速いテンポの中グルーヴしており、滅茶苦茶意味にわからないことをやっているのに、そこには規則性があるように感じさせることです。
つまりベネデッティが感じたように、これは解析可能な音楽だ、と思わされるわけです。そう考えるとビバップはものすごくプレイヤー指向の音楽ですね。

その音楽を自分なりに解析していったのが、後々ジャズジャイアンツになるマイルス•デイビスやジョン•コルトレーンなどですが、その下には数多の弾こうと試みたが弾けなかった人々がいるのを忘れてはいけませんね。

僕もそういう風にパーカーのプレイは解析可能だ、と思ってしまった口の一人なのでしょうか、何度かトライしたのですが、毎回失敗してきました。そして今実際何度目かのトライを行っているところです。
今回はConfirmationという曲を題材に、まずはそっくりに弾いてみようという完コピーの方法、原始的なアプローチをしているのですが、パーカーの演奏の速度を落として(テクノロジーの進化はすごいですね。)写経するように演奏をなぞるのですが、不思議な事に何度も繰り返していると、なんとなくパーカーの思考の流れが分かった気になってきます。
パーカーはおそらくこう考えていたんだろう、とか、パーカーのクロマチックなラインを口ずさめるようになってきます。好きな小説家の作品を何作か読んでくるとその文体や世界観に慣れてくるようになりますが、その感覚に近いですね。
まあ習うより慣れろ方式の練習ではありますが、パーカー研究本はたくさん出ていて、日本人の著作で『チャーリー•パーカーの技法』というパーカーのフレーズ生成システムを解析した名著も出ていますので、コピーした後アナライズして、理解を深めて行きたいですね。

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