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ニセモノとホンモノ

リゾートミュージックを作ろう、という企画を立てて、 ギタープレイヤーの出葉広貴くんと、あーだ、こーだとスタジオでレコーディングしながら試行錯誤。

まずはリゾートミュージックの雰囲気をつかもう、ということでNick DecaroのUnder the Jamaican moonを お手本にコピーしながら、ゆるいグルーヴをどう表現するかを考えていきます。
Under the Jamaican moonには作曲者のStephen Bishopのバージョンもあるのですが、 こちらはボサノヴァギターのパターンがしっかりしておりカッチリ目の演奏です。
僕の目指すところはNick DeCaroバージョンのグルーヴ感なのですが、よくよく聞くとこのバージョンには カッチリしたコード奏者がいません。
ギターのDavid T. Walkerはオブリガード的演奏で、 コードを表現しているのは低音のベースとストリングスです。
ストリングスは白玉の多い演奏ですので、コード楽器があまりリズムを表現していないことになります。

ベースとドラムはボサノヴァ風パターンを演奏していますが、 上でなっているギターはソウルやブルース、R&B的、ボーカルはソフトロック的、とかなりのミクスチャー。
そういった様々な人の音楽的素養やスタイルが混ざって、異国感たっぷりの演奏になっているんですね。
言い方を変えると、ジャマイカンでもブラジリアンでもない、 ホンモノではないニセモノの音楽。
でもそういったニセモノ感が「ここではない異国感」を表現してくれて、えもいわれぬ心地よいグルーヴを感じさせてくれます。
こういった音楽を聴くと、ニセモノでもいいんだよな、と思わされます。
最終的にNick DeCaroはAOR(アダルト・オリエンテッド・ロック)の開祖とされ、AORのホンモノになりました。
やっている本人たちはニセモノもホンモノも関係ないのかもしれませんね。

「ここではない異国感」、「束の間の休日感」をコンセプトにしてできるところまでやってみよう。

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